「新聞の分析から県議会の動きをみる」
信州木曽路「山口村の会」中信地区連絡所 代表 山崎たつえ
★はじめに:
まず岐阜県の文化遺跡と合併について記させて頂く。岐阜県の白川村村長は「世界遺産白川郷や地域の祭りなど村独自の文化を守っていくためには合併をしないで単独の村でいることが必要」と説明し、高山市などとの合併協議会から離脱することを了承された(参照1)。 (参照1)14.10.8信毎記事「白川村の離脱合併協で了承(村長「世界遺産守る)」 白川村の続き:岐阜県高山市など15市長さんが設立した任意の「飛騨地域合併推進協議会」が7日開かれ世界文化遺産の合掌づくりの家屋集落で知られる白川村が合併協からの正式離脱を表明。了承された。谷口尚村長は脱会理由について「世界遺産白川郷や地域の祭りなど村独自の文化を守っていくためには合併をしないで単独の村でいることが必要」と説明している。白川村は9月に合併協を離脱し単独の村として存続することを決定。
★平成14年度 山口村の越県問題と県議会の動き(表1参照)
山口村と中津川市との合併が進んだのは平成14.5月〜15.1月です。この間、長野県議会では何かなされていたのでしょうか。 ・県議さんによる知事への不信任、 ・7〜9月には知事選挙が行われ、 ・知事選挙が終った後は、16年4月に行われる県議会選挙でした。 県議さんは山口村の事どころではなかったのではないかと思います。 確かに、14.9月定例県議会において、小林実議員と堀内議員が質問しています。小林実(自民クラブ)議員は「山口村が県内に留まって頂くために県が先導的役割を果たすべき」と質問し(信毎 (14.10.5)、堀内議員は「アンケートを実施したようであるが再度民意を問い直して結論を出すべき」(議事録)としています。そして県知事は「地域の皆様の御意志を重く受け止めたい」(信毎 (14.10.5)と言っています。しかし、二人の県議さん以外から、それ以上追及する発言はありませんでした。当時の合併に対する世論は「住民自治」が巾をきかせていました。小林実議員のような――つまり住民自治以外の発言のできる社会の雰囲気ではなかったのではないかと思われます。この時、車の両輪である県議さんから小林実県議に同調する意見がもっと出されていたら…と悔やまれます。
表1 平成14年〜15年の動き
山口村
14.5.8 山口村との任意合併協、来月始めに発足。中津川市長表明 14.6 任意合併協議会が設立 15.1 法定協議会が設立された
<知事、県議会>
14.6.14 合併協議の山口村視察田中知事「住民に情報提供を」 16.6.18 荒れ模様か6月県会・知事不信任の動き再浮上 14.7.6 知事不信任案 14.9.2 田中知事再選
<県議会の山口村への動き> 14.10.5 小林実議員、堀内瑛議員山口村について発言
<合併に対する世論――住民自治>
14.5.4 「自立への道」全国で住 14.12.3 合併問う住民投票条例案(富士見町)・合併に頼らない自治体 14.11.19 「小さくても輝く自治体」2月栄村でフォーラム 14.12.30 住民主体の論議活発化(長野周辺の小規模町村・合意急ぐ行政に戸惑いも)
15年度の動き <山口村> 15.1 法定協議会が設立された 15.4.28 山口村長選/越県推進派の加藤氏
<知事・県議会・その他>
15.1.3 県内41首長73議会選挙 15.4.13 長野県議会選挙 15.11.9 衆議院選挙
<合併に対する世論>
15.1.19 合併住民自治が原点(篠原一氏) 15.1.29 合併論議選挙選にも影響「選挙区分断」 15.1.3 県内41首長73議会選挙…合併対応論議の軸に「利点・欠点・住民に示す責任」・有権者も自治考える好機」
<県議の山口村に対する対応>
15.9 村上淳、今井正子議員山口村について発言
★ 平成15年度 山口村の越県問題と県議会の動き(表1参照)
15年度は県内41首長73議会選挙の選挙であり、4月には県議会選挙も行われました。山口村でも村長選挙が行われ合併推進派の候補が勝ちました。その年は衆議院選挙もありました。また、この年は各地で合併が模索されていました。信毎(15.1.29)は「合併論議、選挙選にも影響『選挙区分断』」と記しています。つまり、合併は県議さん方の選挙区に変化を与えるかも知れません。ご自分の選挙、知人友人の選挙、合併で選挙区が変わるかもしれない心配などのためでしょうか。平成15.9月県議会で村上県議と今井県議の二人しか山口村のことで発言していません。「(15.9第338回県議会)で今井県議は「長野県に残りたい」という人がいる。県全体として考えてもよいのではないか」と発言しています(長野県議会議事録)。
★平成16年度の動き(表3参照)
16年度は合併も少しずつ落ち着きを見せてきました。山口村の問題にも少し動きが出てきました。2月に合併の賛否を問う意向調査の結果が出ました。16.2月県議会で村上議員と今井県議が質問しています。越県合併の意向を示している山口村についての村上県議の質問に知事は「寂しい」(信毎16.3.9)と答えました。
表2 平成16年の動き
山口村
16.2.22(16.9.17日記事より)越県合併の賛否問う「投票による村民意向調査」で合併賛成が有効投票の62.7%。 16.4.9 山口村長野県に提出 16.9 知事の爆弾発言
<知事・県議> 16.7.11 参議院選挙 16.8.30 長野県は太平洋側?日本海側?「道州制」論
<知事の山口村への動き> 16.2(16.9.1) 知事は県の市町村自律支援プランの説明。「それは村への介入になる」と村長は懸念を示した <道州制の記事> 16.8.30長野県は太平洋側?日本海側?「道州制」議論地方の視点で。県境越えて進む交流。メリット見極め必要。
16.9.17 知事の爆弾発言
<県議の山口村への対応>
16.2 村上淳、今井正子議員山口村について発言。村上県議の質問に知事は「寂しい」と発言。
そして、9月県議会で知事の「山口村合併議案『9月県会提出せず』」(信毎16.9.17)発言となります。ご存じのように途端に質問が多くなりました。16.9県議会では9名、12月県議会では16名でした。
★分析を終わって:
県議さんに視点を当て、平成14-16年の信濃毎日新聞を分析してみました。 県議会は山口村の問題が起き、話がどんどん進んでいた時、県知事不信任とその後の選挙で大忙しで山口村どころではありません。そして、それが終わると自身の県議会選挙。 それが終わると自分の足元の合併問題。そして、合併が落ち着いてきたのが、平成16年8月頃。その時、田中知事が「山口村合併議案『9月県会提出せず』」と爆弾発言。県議会では知事への批判を展開しています。 しかし、私が、新聞並びに県議会議事録で月日を辿り、県議さんの発言回数(次ページ表3)をみた時、県議会で必死に山口村について議論した姿がみえません。知事の発言に、県議さんは初めてショックを受けられ、事の重大さに気がつかれたのではないでしょうか。私たちも田中知事発言まで、山口村の事を何か人ごとのように考えていました。知事発言に事の重大さを痛感し行動を起こしました。ここで立ち止まり、知事さんも県議会も県民も山口村について考えてみませんか。 (確かに知事さんの政策の変更も善いとはいえません。しかし、それが県民のために転換したほうがよければ転換すべきと思います)。なお、当論文は当会のメンバーの多大なる協力によるものです。心から感謝致します。
表3 山口村越県合併に関する県議会議員の一般質問者名
年月人数発言者 平成14.6 山口村、中津川市任意合併 平成14.6 0 平成14.9 2 小林実(自民)・堀内瑛(共産党) 平成14.12 0 平成15.1 山口村、中津川市法定合併 平成15.2 0 平成15.7 0 平成15.9 2 村上淳(県民クラブ)・今井正子(トライアル・しなの) 平成15.12 0 平成16.2 2 村上淳(県民クラブ)・今井正子(トライアル・しなの) 平成16.6 0 平成16.9 山口村越県合併に関する知事発言 平成16.9 9 ・佐野功武(公明)・村上淳(県民クラブ)・毛利栄子(共産党)・今井正子(トライアル・しなの)・清水洋(志昂会)・高木蘭子(県民クラブ)・丸山賢二(緑FO)・田口哲二(ネット)・宮川速雄(あお空) 平成16.12 16 ・西沢正隆(政信会)・寺島義幸(緑新会)・村上淳(県民クラブ)・田中清一(トライアル)・北山早苗(あお空)・柳平千代一(志昂会)・小松稔(自民)・高村京子(共産党)・小原勇(ネット)・清沢英男(緑FO)・小池清(自民)・宮川速雄(あお空)・竹内久幸(ネット)・今井正子(トライアル)・石坂千穂(共産党)・柳田青二(県民クラブ)
注:インターネットより山崎たつえ調査作成16.12.21 (調査の時間が短時間のため不備があるかも知れません。その説はお許し下さい。訂正させて頂きますので恐縮ですが御連絡下さい。
資料作成 松本市島内6595 山崎たつえ 0263-47-2698 参考文献:信濃毎日新聞 平成14-16年 長野県議会議事録 平成14-16年
提出先:第5回目に記者会見原稿です。
長野県知事 16.12.22 長野県議会議長・議員各位殿 山口村長 山口村議会議長殿 資料作成:信州木曽路「山口村の会」中信地区連絡所 代表 山崎たつえ
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