山崎たつえの視点 教育・環境・政治・その他



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2008/01/15
「ゴミの資源化率の向上を図るにはどのようにしたらよいか」の一考察
19年9月市議会でゴミの資源化について提案しましたが、これは、その裏づけ調査です(19.9.19)。

はじめに-----あるきっかけ

 平成19.7.13日の平成19年度第一回松本市エコトピア山田環境保全協議会の折の資料に容器包装プラスチック《H16年度まで廃プラスチック)の搬入量の数値がありましたが、その数値が平成16年度に比し17年度18年度と極端に下がっていました。資源化が叫ばれてきましたのに「なぜ、こんなにも下ってしまったのか」私は疑問に思いました。まず、プラスチックの処理に関する経過を調べてみました。


[I] 容器包装プラスチックの資源化率の向上について

1. プラスチックの処理経過
 清掃課長の説明と頂いた資料「平成16年度17年度19年度の産業廃棄物処理の概要」から次の事が判りました。
 容器包装プラスチックは当初「廃棄プラスチック」と呼ばれ昭和54-度から平成10年度までは埋立ていましたが、平成11年度現在の焼却場ができてからは焼却しています。しかし平成17年4月からはリサイクルされています。
 リサイクルに先立ち平成16年は準備の年としました。資源化にとって最も大切な事は家庭での分別ですので、市民の皆様に分別に慣れて頂くための訓練期間としたのです。16年度版概要書には「平成17年4月からの実施に向けて、その準備のため1年前の平成16年4月から『容器包装プラ』と『その他のプラスチック(これは焼却)』に分ける分別方法を実施しました。平成15年10月より容器包装プラの資源化に向けての町会説明会を開催し周知徹底を図りました」との旨が記されています。なお、平成16年度からは廃プラスチックは容器包装プラスチック《以下容器包装プラ》と呼ばれるようになりました)。

2. なぜ容器包装プラスチックを資源化するのでしょうか。その理由に触れておきたいと思います。
 一つは資源の再利用です。もう一つはプラスチックを燃やしますと多量のダイオキシンが出るためです。ダイオキシンは「がんから子どもの身体障害はもとより、精子に異常をきたし奇形児の出産の危険性が、きわめて多いなど、さまざまな調査結果があります。ダイオキシンが問題化した発端はベトナム戦争での枯葉剤の使用ですが1984(s59)年には焼却場からもダイオキシンが出ることが証明されました(インターネットより)」。

3. 松本市は容器包装プラのリサイクル率の数値が下がり続けています。
 前述しましたように松本市の容器包装プラの数値をみた時、平成15(16)年度を100としますと平成17(16)年度は29%(48%)、平成18(17)年度は24%(45%)です。私は松本市のみの現象か、長野県の現象か、をみるために19.7.6日廃棄物対策課資源化推進係に全県下の資料をお願いしました。7月26日数値が送られてきました。
 東郷市、駒ヶ根市、飯田市などは年々容器包装プラの資源化率が高くなっていました。平成15年度を100としますと123、106、108、となっていました。下っている市は旧丸子町、小諸市、飯山市で、平成15年度を100しますと82・97・98となっていました。どの市も松本市ほどの下がり方はしていません。
 東郷市は長野県で最も高い伸び率を示していました。佐久市は長野県内の市の中ほどの値を示していました。そこで、松本市の容器包装プラスチックのリサイクル率の低下の原因を探るため、19.8.9日、両市を平成19.8.23日には飯田市を、19.8.16日には塩尻市を視察させて頂きました。

4. 調査結果---各市の違いを見る
 プラスチックのリサイクル率の高い理由をまとめてみました。
(1) 東郷市、佐久市、塩尻市の場合
 視察した東郷市、佐久市、塩尻市とも「プラスチックは焼却場でもやす事ができない」という絶対条件がありました。それは炉の温度(800度)が低いためプラスチックを焼くと「ダイオキシンが出る事、そして炉が傷む」ためでした。
 以上のような理由から各市は行政も市民も「プラスチックの分別に一生懸命になっている」と推測されました。
 東郷市、佐久市、塩尻市の場合などは「人は引くに引けない状況になったとき、行動が変容するものだ」という一つの証でしょうか。
 松本市もこのような状況下に置かれれば行動の変容が起こると思います。松本市も平成16年度エコトピア山田の埋立地問題の時は行動の変容を起こしています(巻末に掲載)。
(2) 飯田市の場合
 飯田市の炉は松本市と同様、高温になりますので炉が傷む事はありませんが、プラスチックはダイオキシンが出やすいということで焼却処分をしないことに組合で決定しています。また、汚れた容器プラスチックも洗い分別していました。さすが環境文化都市だと思いました。
(3) 松本市の場合――自身の政策から出ている問題への処置
 調査の段階で、私は松本市独自の問題が内在しているのではないかと思いました。こんな噂が流れています。19.8.13日、近所の60代の男性が「スイカのゴミが多く温度を上げる為プラスチックやペットをどんどん燃やしているそうだ」と言いました。清掃課長にお聞きしますと「そんな事はありません」と言われました。また「松本市は分別しても焼却場で燃やしてしまう」との噂もあります。このような噂が流れるのはどうしてなのか。私は考えました。そして、思いました−―「平成16年度、分別になれて頂くために実施した政策が市民に理解されず、今も、
妙な噂となっているのではないか」と。
 従って、松本市の容器プラスチック処理に対して、その意識に対する対策も必要ではないかと思いました。

5 容器包装プラスチックのまとめ

 飯田市は環境を政策の柱として取組んだだけの事があり、容器プラスチックを焼却炉で焼く機能があっても「ダイオキシンを出す危険性がある商品」とのことで「プラスチックを焼かない」政策が実行に移されています。しかし、松本市の場合は、焼却炉の機能に甘んじ、その結果として、行政も市民もプラスチックの分別に甘く、分別率が低くなっているのではないか思われます。
 それには意識改革が大切ではないかと考えますが、これについては[2]リサイクル率の向上で記したいと思います。
 なお、処理にかかる費用は右表の通りです。リサイクルするより焼却する方が安くなっていますが、ダイオキシンなどの問題をかんがえた時分別は必要です。


[II] ごみ全体のリサイクル率の向上について

 容器包装プラの調査の段階で松本市のリサイクル率が異常に低い事に気がつきました。視察時に頂いた資料によりますと東郷市の平成17年度リサイクル率は33.0%となっていました。
 私は松本市の平成17年度リサイクル率20.3%と比較して、余りにも高いので算出方法が異なるのではないかと思い、長野県廃棄物対策課より全県自治体の資料を頂きました。
 東郷市のリサイクル率に間違いはありませんでした。東郷市の17年度リサイクル率は33.0%で、長野県第2位で、一人当たりの排出量は701gです。
 ちなみに松本市の人口は19市中2位であり、17年度リサイクル率は19市中、14位です。県下一の人口の長野市のリサイクル率は23.6%、一人一日当たりのゴミ量は1091gです。県平均リサイクル率は24.5%、排出量は986gです。一位は塩尻市、二位は東郷市、三位は飯田市となっていました。そこでリサイクル率の高い市を視察させて頂きました。幾つかの政策を見つける事が出来ました。

1. 意識改革への取り組み
 東郷市の坂井係長は視察中に「ゴミ処理は燃やすのが一番安く上がります。リサイクルにとって大切な事は市民に如何に理解して頂くかがポイントです」と言われました。そして、東郷市では「ゴミ減量アドバイザー制を設けています。公募により人を集め5回の研修をします。受講後市役所の職員とリサイクルについて地区へ話にいっていただきます。アドバイザーは地区別ではありません」と助言下さいました。意識改革のためのこれと類似の政策は塩尻市でも
飯田市でも行われていました。また、経済環境委員会は19.7.25北九州市へ視察しましたが、同市でも公害に対する市民の意識を向上させるために講座を設け、その修了者に行政の手助けを依頼していました。

2. 各地の取組み
(1) 塩尻市の場合
i. 塩尻市は袋代の外に焼却袋に限り償却費を取っていました。大袋は袋代+70円、小袋は袋代+30円です。「分別すれば経費はかかりません」と言うわけです。担当者は「ゴミ袋への上乗せは平成13年度にスタートして完全実施までに5年かかりました。どうして減らさなければいけないかを市民が理解できれば、この方法は可能です。分別収集の意識改革をしながら実施しなければ効果が上がりません。また、焼却場など引受けている地域に市民が感謝しないといけません」と言われました。私は焼却炉のある島内地区に住んでいますので「なるほど」と思いました。松本市民はそれら地域に感謝の心が薄いと思います。市民の中には不適切な発言をする人もいます。985(s59)年焼却場から猛毒のダイオキシンの出る事が証明されました。最初の焼却場が出来たのはs48(1973)、現在の償却場が出来たのはH11年です。焼却場のある島内地区民は25年間猛毒のダイオキシンの被害を受け続けていた事になります。なお塩尻市の政策の結果は表の通りです。

(2) 飯田市の場合――意識改革のための政策
 飯田市は環境文化都市宣言をしている市でした。環境文化都市宣言をするからにはそれなりの歴史があるはずです。調査し、私はビックリしました。飯田市の市長は環境を政策の柱とし環境に対する物凄い取り組みをしていました。
 同市は平成8年に日本で始めての環境事業であるエコタウン事業を承認されました。さらに、その事業が評価され平成16-18年にかけて4億円の「まほろば事業」も承認されていました。平成8年エコタウン事業を承認されたのは北九州市など4自治体にすぎませんでした。
 飯田市ではさまざまな政策が展開されていましたが意識改革の政策の中で実行可能と思われ、且つ、リサイクル率の向上に繋がるだろうと思われる二つの政策を見つけました。
i. 一つは組成調査です。これは生ゴミの中に資源化できるものが入っていないかを地区ごとに調査するものです。調査日は抜きうちです。この方法は「効果的です」と言っていました。
ii. もう一つ生態チェックがあります。有志を集め川や山の生態を調べてあるくものです。「ゴミ問題を意識することなくゴミに関心を持ってくる」とのこと。例えば汚れている川に住む生物ときれいな川に住む生物に気がつき「川をきれいにしよう」との意識が自然に芽生えることもあるとのことです。
 さまざまな政策を展開してきた飯田市は市民にリサイクルの意識が徹底し、且つ、実行に移されていることが判りました。案内下さった飯田市議会事務局の職員の方は「地域で宴会をした後、市民は完全にごみの分別をします。今では陶器を使ったりする地域も増えています」と言われたからです。
 松本市の場合、公民館や農協で実施する宴会の後、どの位分別がなされているでしょうか。余り分別されていないように思います。


終わりに

 7月の会議資料よりプラスチックのリサイクル率の低下に驚き調べてきました。その過程で松本市のリサイクル率の低いのに驚きました。「どうしたらリサイクル率の向上ができるか、実行可能な政策はないか」を松本図書館で調べたり、視察したりして参りました。多くの事が判りました。
終わりに資料提供下さいました長野県の関係者の皆様、視察させて頂きました北九州市、東郷市、佐久市、塩尻市、飯田市(訪問順)の関係者の皆様、お世話下さいました松本市の関係者の皆様に心から感謝致します。

参考) 私の提案のまとめ
 1 飯田市のように焼却する事が可能でも「プラスチックは焼かない」とする。
 2 資源の再利用と分別意識を徹底する。
 3 意識改革をしながら袋代に処理料を上乗せしていく。
 4 意識改革のために組成調査をする。
 5 意識改革のために生態チェック講座をする。
 6 リサイクルアドバイザー制度を設ける。
 7 リサイクル係を独立させる。
 8 市民が焼却場を引受けている地域の皆様に感謝の心を持つ。
以上。他にもさまざまな方法があると思われますが、お聞かせ頂けたらと思います。


(注1) 平成16年度エコトピア山田の埋立地問題で行動の変容
松本市が行動を変容させた時
 松本市の16年度廃棄物処理の概要で平成15年度のごみの排出量をみていると唯一平成14年度より減少しているものがありました。埋立ゴミです。
 私は島内地区の地元ですので「埋立を引受けている山田地区に何かがあったのではないか」そして、山田地区の埋立地問題が大きくクローズアップされたとのだと推測しました。そういえば山田地区の問題が取りざたされていたのが思い出されます。
 資料を見てゆきますと「埋立地の延命対策として平成16年1月からは収集した埋立ごみを破砕処理してから埋め立てるようにしました。エコトピア山田にストックヤードを建設し減容化を図っています。…」などが書かれていました。ここから、それまでは持ち込まれたもの総てを選別も、破砕処理もせず埋めていたことが推測されました。
また、エコトピア山田環境保全協議会の資料からカラスの調査が始まったのも平成15年からとなっていました。松本市は埋立地を変更するわけにも行かず、引くに引けない状況下になり、行政も市民も行動の変容を起こしたため埋立ゴミが減少したのではないかと推測します。
(カラスの調査方法は平日3回《朝昼夕》及び土曜日1回《朝》にカラスの数を記録し月ごとの述べ数を集計《年末年始を除く》。 (資料は松本市エコトピア山田環境保全会議資料19.7.13より)。



(注3)日野市は2基の焼却炉をリサイクルで1基にしました(ホームページ)。


以上


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