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2006/08/24
防犯ビデオ「特命リサーチ『割り窓の理論』」要旨
1.ニューヨーク市地下鉄の落書き消し
防犯ビデオ「特命リサーチ『割り窓の理論』」
1.ニューヨーク市地下鉄の落書き消し
札幌市のススキ野駐在所館内は犯罪の温床であった。犯罪の多発は勿論の事、「5000円飲み放題」としながら70万円も取るなど「ぼったくり問題」もおきていた。しかし、2000年を堺に犯罪が急減しだした。それは札幌中央警察署がニューヨークのケリング教授の犯罪抑制対策を導入した結果であった。
ニューヨーク市は1970年犯罪が急増し危険な町になった。1990年同市で2245件の殺人が発生。これは全米の10%に当たった。子どもが防弾チョッキを着用するようになり、転入する人口より転出する人口の方が多くなった。1980年頃より犯罪が急増。取り締まりを強化するが犯罪は増え続けていた。しかし、変化が出てきた。殺人、凶悪犯罪が半減した。1990年2245件であった殺人が1998年633件、ピーク時の半分以下になったのである。ニューヨーク市は同市の地下鉄でのケリング理論を導入したのである。
2.ニューヨーク地下鉄の試み――ケリングの犯罪抑制対策
1980年当時ニューヨーク市交通局は頭を悩ましていた。地下鉄の乗客が激減し330万人まで落ち込んでいた。乗客が地下鉄を利用しなくなった理由は「治安の悪化」であった。年間二万件の凶悪犯罪が起きていた。地下鉄はパトロール、刑事の強化など、さまざまな努力をした。しかし、犯罪は増加の一途であった。そこに登場したのが「ケリング教授の落書き消し」作戦である。
★ ケリング博士の理論
@落書き消し作戦
当時、地下鉄の駅やホーム、6,000車両のすべてが落書きで埋め尽くされていた。人々の主張や不満をぶつけるためであった。ケリング教授は犯罪を取り締まるのではなく落書きを消す事を提案した。とんでもない発想に反対者が多かった。多くの人は「崩壊寸前になっているのに」といった。しかし、局長は賛同し150万ドルの費用を投じた。落書きを消していく作業が始まり3年しても効果が現れなかった。しかし、1989年、5年目に変化が現れてきた。取締りを強化したわけではなかったが、殺人、強盗が減ってきた。
A次にケリング教授は「対策プロジェクト第二段」を立ち上げた。
車内での喫煙、らくがき、車内をベット代わりにする行為、無賃乗車などの軽犯罪の取り締まりを強化した。今まで、これら軽犯罪は凶悪犯の影に隠れていた。軽犯罪を犯した人たちをプラットホームに並べて繋いだ。二年後に凶悪犯罪が半減した。1990年18000件だった犯罪が1994年9000件になった。
★ ニューヨーク市長、ケリング教授に注目
1994年ニューヨーク市警察署長は地下鉄の犯罪を減らしたケリング教授の理論に注目した。地下鉄の考えをニューヨーク市に適用した。落書き消しと軽犯罪――歩行者の信号無視、空き缶の投げ捨てなど軽犯罪を取り締まった。その結果犯罪は減少した。殺人も三分の一になった。凶悪犯の取り締まりはしてないのに……である。
3.なぜ犯罪がへったのか――ケリング教授の理論の不思議
「小さな犯罪が大きな犯罪を誘発する」ということである。落書きがあると軽犯罪が起こる。→すると軽犯罪の多発となる→軽犯罪が多発すると凶悪犯起こる。
ケリング教授は1982年「ブロークン・ウインドウズ理論」発表した。同理論は1969年のフィリップ教授の実験から理論化したものである。
・フィリップ教授の実験
車を路上に置いた。しかし、車に一週間何も起こらなかった。
今度は車のガラス窓を割っておいた。すると変化がおきてきた。10分たたない内にバッテリーが抜き取られ、24時間で多くの部品が奪われた。そして1週間で車は破壊された。
車の一部が壊されていると、人は「誰の管理にもなっていない。それに自分のみでなく、他の人もいたずらしている。だから、自分もいたずらしてもよい」となる。つまり罪悪感が薄れる。社会に対する怒りを抱えている人は特に罪悪感が薄れる。
これは「人は駐車禁止区域でも多くの自転車が放置されていると罪悪感なくおく」と同じ心理である。つまり落書き消しと凶悪犯罪の関係は次のような構図となる。
落書き消し=罪悪感を取り戻す。
軽犯罪への取り締まり=凶悪犯への連鎖を断つ。
軽犯罪の放置=住民の監視が行き届いていないとなり犯罪が起こる=警察の目が行き届いていないとなり凶悪犯の増加となる。
「軽犯罪を許さない」との姿勢を示すと犯人はその地域に近づかない。「小さな罪でも許さない」との姿勢が大切である。小さな罪とは「ゴミが落ちているとひろう、子どもが人に迷惑をかけていると注意する、空き缶の放置など」である。
それを実施するうえで行政や住民の協力が大切である。

ニューヨーク市の実験を札幌中央警察署は札幌のススキ野駐在所館内に導入した。
違法駐車を徹底的に検挙した。違法駐車2001年700台であったものが2002年200台となった。また、二年間でぼったくり店が三分の一になり、犯罪が12%減少した。
「違法駐車位はよい」との考えが罪悪感を薄める。違法駐車を放置しない=「警察の目が行き届いている」と犯人の目に写る。
とにかく「犯罪は許さない」との一人一人の意識が大切である。

以上


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