山崎たつえの視点 教育・環境・政治・その他



Recent articles
10/26 
住民監査請求
06/26 
夫婦別姓に対して市議会で規律採決
06/18 
お城を守るために
06/18 
市道にして良いかを協議のため視察
06/16 
低所得者の国民健康保険料
06/16 
一般質問をする。
06/11 
埼玉県国立女性教育会館での研修に参加
12/03 
松本市の不正許可を追及
02/12 
山崎たつえ市議会議員日記 第10号
01/15 
「ゴミの資源化率の向上を図るにはどのようにしたらよいか」の一考察
12/21 
「旧五島建設跡地の車庫」に関する調査
12/03 
山崎たつえ 新聞 第4号
12/03 
山崎たつえ 新聞 第3号
01/29 
山崎たつえ後援会だより
01/03 
談合と選挙の深い関わり
12/22 
波田町の調査18.12.20をみる
10/02 
「有害自販機撤退との戦い」松本市岡田地区の活動事例から
08/24 
防犯ビデオ「特命リサーチ『割り窓の理論』」要旨
04/24 
臼井吉見文学館の続き(2)
04/22 
臼井吉見記念館の指定管理者募集についての私の意見         
12/31 
再び「松本・四賀トンネルは合併の条件か」について
12/15 
「松本・四賀直結トンネルは合併条件か」17.12.13
11/29 
私の松本・四賀直結トンネル日記(1)
10/10 
松本・四賀直結道路の情報公開に関連して(3)
10/08 
松本・四賀直結道路の情報公開に関連して(2)
09/06 
「松本四賀直結道路整備事業についての調査」(要旨)
08/16 
松本四賀直結道路整備事業についての調査
02/23 
松本市政務調査費調査

目次へ
2005/09/06
「松本四賀直結道路整備事業についての調査」(要旨)
同調査要旨
   「松本四賀直結道路整備事業についての調査」要旨                   くらしを考える会代表 山崎たつえ
〒390-0851 松本市島内6595 0263-47-2698
ホームページ http://www.tatsue.jp/ メール tatsue@beige.ocn.ne.jp
  
80億円の予算を要するとされる松本四賀直結道路整備事業(以後四賀直結トンネル)が大きな問題となっているが、松本市からの情報は次の三つである。
・「松本四賀直結道路の予定キロ数(4.4km)  ・予算額(80億円)
・国道143号線利用の場合と松本四賀直結道路との差が往復26分」
そこで、わたし達はこの問題を客観的に判断するためデータ収集を行った[要旨の表と地図合わせ参照のこと]。 
  
[T]松本四賀直結道路案について
菅谷現松本市長は
・選挙中→『(四賀直結トンネル)道路ができても5分しか時間短縮できないのに80億円もかける必要があるのか』としていた(信毎16.7.22)」 ・当選後→「市長と語る会」では「消防署などへ早くつくため等、四賀地域の市民の命を守るためにも直結道路が要る」 ・最近の会見→「直結道路は危機管理の面で」とした上で「他地域の意見を聞いて慎重に進めたい」と答えている(信毎17.4.14)。
松本市全体のバランスを考慮しながら、「危機管理=消防署からの距離」を主軸に四賀直結トンネル問題を検討してみた。なお、旧四賀村は合併した村の中で唯一病院を持っている。また、「危機管理=消防署からの距離」の他に、国道143号線は交通量が多くトンネルが必要、事故が多いのでトンネルが必要との意見もあるのでそれらについても調査した。

1. 緊急病院、消防署からの時間短縮にトンネルは必要との意見の分析
注:この論を進めるに当たり四賀支所に近く四賀地域の中心地であると思われる県道矢室明科線と西城会田線の接点をA地点とし距離を算出した。
☆ 四賀地域の消防署管轄は明科消防署であり、危機管理に直結トンネルは関係がない
市長は「トンネルが出来れば本郷消防署から出動する救急車が…」 (信毎16.8.1)としているが、四賀地域は明科消防署管轄であり、明科消防署は本郷消防署の半分の距離で四賀地域へ到着する事が出来るし、日赤病院はもとより信大病院へいくのにも明科消防署の方が早い。また、明科町役場は「病院への搬送は豊科町の日赤病院の方が松本市の信大病院より多い」と言う。つまり危機管理上「四賀直結トンネルは関係がない」といえる。
☆ 四賀直結トンネルと国道143号線の差は――2.8km(3分26秒)である。
 明科消防署からは四賀直結トンネルは関係ないが、念のため、四賀直結トンネルと国道143号線の比較をしてみた。筆者が市役所に問い合わせても教えて頂けないのでトンネル通過地点を「四賀地域刈谷原交差点から松本市岡田区洞」と仮定し調査した。その結果、両者の差は2.8km(3分26秒)である。信大病院へ搬送しなければならない場合は明科消防署の場合でも四賀直結トンネルがあれば2.8km短縮されることにはなる。しかし、2.8km3分26秒が問題とされる数字であろうか。松本市は広い。そして市民は平等にサービスを受ける権利がある。安曇地区、奈川地区は最短1時間かかるし、入山辺地区、今井地区は最短30分かかる。この地域の危機管理はどうするのか。

☆ 松本市はなぜ本郷消防署からの距離でトンネルの問題を市民に説明してきたのか。
松本市は四賀地区が明科消防署の管轄であるのに、なぜ本郷消防署からの距離を四賀直結トンネルの資料として「市長と語る会」で公表してきたのであろうか。
又、143号線と四賀直結トンネルとの距離の違いを「往復で26分」としているが、その根拠は何であろうか。私の調査では「往復で6分52秒」の違いである。更に四賀直結トンネルの予算が算出できている上に時間差まで公表していながら、なぜ、どの位のキロ数が短縮されるのか、正確な数値でなくとも、だいたいのキロ数も教えて頂けないのか。キロ数は市民が判断する上の最大のポイントと思う。

2) 四賀村を通る143号線は交通量が多くトンネルが必要との意見の分析→多くない。
旧四賀村住民の通過地点であり、車が混み合うとされる松本市三石地籍(大口沢〜六助池間)以上に車の多い路線が松本市内には多々ある。
3) 四賀村の路線は事故が多くトンネルが必要との意見の分析→少ない。
町村別交通事故発生状況、並びに、路線別事故発生状況をみると四賀地域の事故は多くない。路線で事故が増加しているのは19号、158号である。

2.財政的面からの検討――建設費80億円のうち、市民が負担する分はどの位であろうか。
80億円の内、13億円が松本市が税金から支払わなければならない額であり、それは「年間6000万円ずつ、20年間の支払いになる」という。手塚和彰千葉大学教授は「他の合併地域とのバランスもあるだろうし、市民全体がこの大きな負担にたえられるかも問題である」と心配している。ちなみに昭和の大合併の時、松本市は合併した13ケ村の負債も一因となり赤字団体に転落した。
合併債の使用について 川瀬憲子静岡大学教授は「昭和の合併において、合併が決定し、終了した途端に国は『交付金カットと同時に財源支援策を半減。政府への期待を膨らませた合併町村の多くはかえって財政危機が深刻化』とし合併特例債の使用を自重するよう」警告を発している。
なお、この道路を利用する可能性の強い人口は四賀地域と筑北地域、約15,000人の内、主に松本市の東山部から中心地に向かう車である。次に四賀直結トンネルの他に四賀地域へインター設置をとの意見、143号線、矢室明科線の改修の意見も取りざたされているので次にその事に触れてみたい。
[U] 四賀地区にインター設置の案:直結道路でなく四賀地域に「約20億円を要するインター設置を」との提案もされている。前中島村長さんは昭和57年、村会議員初当選の時、提案されている。病院、消防署へのアクセスは、次表の如く直結トンネルより近くなる。四賀村にはクライガルデンがある。それらの人々は首都圏から来ている方々が多いのでインター設置は大歓迎ではないだろうか。現在も四賀停留所からの高速バス利用者が多く、かつ安い。(注:高速は時速100km、その他は50km )
表10
時速50km普通車制限速度時速80km救急車制限速度
明科消防署〜矢室明科線〜143号〜日赤21.3km25分33秒(普通車)15分59秒(救急車)改修で短縮可
明科消防署〜矢室明科線〜高速道〜日赤11+高速7.3km17分34秒(普通車)12分37秒(救急車)インター設置
明科消防署〜矢室明科線〜高速道〜相沢13.5+高速14.4km24分50秒(普通車)18分46秒)(救急車)インター設置
明科消防署〜矢室明科線〜143号〜信大22.2km26分38秒(普通車)16分39秒(救急車)
本郷消防署〜矢室明科線〜143号〜信大29.4km35分16秒(普通車)22分03秒(救急車)
明科消防署〜矢室明科線〜トンネル〜信大19.4km23分17秒(普通車)14分33秒(救急車)トンネル設置
本郷消防署〜矢室明科線〜トンネル〜信大23.8km28分35秒(普通車)17分51秒(救急車)トンネル設置
[V] 143号線と矢室明科線の改修:地元の方から聞いた話である。「冬期間において凍結し危険な箇所は大口沢交差点の刈谷原側手前であり、それは山を削れば良い。その費用に1億2000万円〜3000万円必要。又、刈谷原トンネルの天井を抜いたり、矢室明科線の改修などで、多少時間が短縮されるであろう」。

おわりに:皆さまは「四賀直結トンネル」をどう考えられるでしょうか。それにしても、この問題を市民が考える時松本市の的確な情報の開示は絶対条件ではないだろうか。
また私は一昨年二回スウェーデンを視察訪問した。特に驚いた事は同国の政治家、行政が国民に絶対の信頼を受けている事であった。そして、同国の政治家、行政は最後の決定を下すとき学者の意見を尊重し、ものごとを科学的判断の元に決定するとのことであった。日本はどうであろうか。日本の政治家、行政は企業の言うこと、或いは力のある政治家の言う事を聞く傾向があるのではないかと思われる。私は四賀直結トンネルについても政治家、行政の方々はしがらみに囚われることなく、科学的視点で、バランスの取れた市民へのサービスを念頭におき、対応してほしいと切望する。最後に筆者の記述にミスがありましたら、ご指導下さいますようお願い致します。併せて論文の本文も必ずお読み下さいますようお願いいたします。(http://www.tatsue.jp/教育、環境、政治などの項)。筆者:1940年誕生。高校教師などを経て新潟大學大学院修士課程修了(社会学)。「母が語る子育て論」「おびえる妻たち」などの著書あり。
明科消防署並びに本郷消防署からの地図(論文を参照のこと)


<次の記事 以前の記事>