山崎たつえの視点 女性・福祉



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2005/10/26
市川房枝記念館講演「岡沢憲夫先生」抜粋
スウェーデンの労働と税制と情報公開
                於「市川房枝記念館」17.10月
              文責 松本市島内6595 山崎たつえ

★多様な考え方がある時、二つの考え方を一つにする自民党の考え方はおかしい。二大政党制がうまくいっているのはイギリスとアメリカのみ。例外といえる。世界には208国あり2国のみ。議会政治の母国はイギリスで小選挙区。アメリカは60年前に政党政治を持ち込み、女性参政権も得る。日本の二大政党制は「例外が常識」になっている。
デモクラシーは代価を払わないといけない。北欧の人が成熟した政党政治が出来るのは代価(税金)を払っているからである。間接税25%、直接税50%。国民の手元には金がない。手元の金は消費する。日本は平均60歳で平均2346万円の貯蓄。そのような人が3000万人いる。これが低成長の原因となっている。貯蓄してしまうので金が市場に出ない。市民は買わなければならないものは買うが、普通は100円ショップで間に合わせる。
★北欧はなぜ高負担に耐えれるか。@ 労働観 A 税金観からきている。
日本は北欧型社会にならない。日本は減税政策を選挙の時に訴える。大幅増税というと国民は身を固くする。税金観の後ろに労働観がある。
日本のデモクラシーはうまくいかない。⇒@労働時間が長すぎる。A情報公開がなさすぎるが原因している。この二つが北欧と日本のデモクラシーの違いである。日本人のように働いていては議論する時間がない。北欧の人たちはカフェーで議論する。
「労働時間を短くする。賃金を下げさせる=可処分所得減っていく」政策を推し進めようとした時→政府は国民に聞いた。
「みなさんの欲望を10年前にして、少なくして下さい」→駄目です。
「もう一つ別の財布を用意して下さい」→どういうことですが。
「女性が社会参加して下さい。一人当たりの賃金は低下する。しかし、一世帯の所得は少し増える。一世帯の労働時間は長くなる。一つの家に二人の労働者、消費者、納税者をつくるのです。納税人口が増えたところで社会が介護と育児をします。
自分の親が寝たきりになったら、介護を他人に任せ、自分が他人の親を介護する。二人のヘルパーが生まれ、二人の納税者が生まれる。
それまではスウェーデンは介護は長男の嫁のアンペード・ボランティアであった。女性は仕事を止めて家庭に入った。納税人口が減り社会保険の支出が増える。ダブルパンチである。この人たちを地方公務員にしたらと考えた。大きな政府が女性の社会参加にとって、てっとり早い、女性がしていたアンペードワークを社会化したのである。
女性の職場→地方公務員として他人の子どもを育てれば保育士、ヘルパーが誕生し、消費者になり、納税者になることに気づいた。
スウェーデンは小さな中央政府、大きな地方政府の国である。地方政府は大きく、育児と介護を担当する。女性の職場を確保した。

★労働観の違い。
日本は「男は仕事、女は家庭」の性別役割分業。日本は家庭、社会、職場で性役割をどのようにつくっていくかという切り替えが出来なかった。
北欧は労働観を変えた。
@働くもの、働かぬもの休むべからず
A日本は働いても休むべからず(年休取得者5%)。北欧ははたらいた者休んでよい。
B休まぬもの働くべからず。
あなたの勤勉、仲間の失業⇒個人が程ほどに働き、程ほどに税金を払うほうが良い。
4人が2時間ずつ残業すると1人の失業者を出す。
日本はまだ「自分は明日大社長になる」と考える人が多い。小さな政府=競争原理。
北欧の人は人々の幸せを計るバロメーターは貯金感覚ではなく、自由に出来る充実観である。1950年代以後の北欧の考え方。同国は1960年7%、1970年10%の間接税であった。
「税金納めるが自由に出来る時間がへる」生き方がよいのか。
「全ての人に共通しているのは時間である。時間を充実して生きる事が幸せか、不幸かの測定基準ではないか」と考えた。そう考えた時、「労働時間を短くして、自由時間が欲しいとする労働観」となった。日本は貯金が多いほうが幸せ。
日本は「組織が人に優しいのは元気なうち」=競争原理の鉄則=小さな政府。
北欧のように「貧しいものが仲間で連合体をつくり、未来のために投資する」という税金観を変えて行かないとスウェーデンのように日本はならない。日本の大幅減税、大幅福祉はマジックである。しかし、こうしないと日本人はわかってくれない。日本は約700兆円の借金、これは一人600万円の借金となる。450万円がサラリーマンの平均収入。これほどの借金大国はない。
★ 福祉をすれば経済が駄目になる。
「官から民へ。市場原理やれば活性化する。福祉をすれば経済が駄目になる。それは金が官にいくからである」といわれる。しかし、現在元気なのは福祉国家である。スウエーデン、デンマーク、ノルウエーなど。
日本は「福祉をすれば経済駄目になる」と言っていたが、福祉をする前に日本は「経済が駄目になった」。元気な時に福祉をやっておけば社会資本として残る。それなのに日本は元気な時にロックフェラービルを建てていた。景気の良い時、保育所を整備していれば職場がどんどん増えていたのに。世界の競争力調査において強いのは福祉国家。
福祉すると経済が良くなっている国がある。2005スイスの民間経済研究期間世界経済フォーラム調査で日本は世界の競争力12位。一位フィンランド、米国、スウェーデン、デンマークの順である。福祉をすれば経済が駄目になるとは限らない。
経済状況は時代と状況の産物である。
小さな銀行作った時の名社長が大きな銀行で名社長とは限らない。
平和の時のリーダーが戦争のときの良きリーダーとは限らない。
小さな時の学習が、永遠の発想ではない。
福祉にまわさないと駄目になる時代もある。柔軟な発想にする事が大切。今日の常識、明日の非常識、今日の非常識、明日の常識かも知れない。
★ 安心と安全
スウェーデン人は「預金いくらですか」ときいても言わない。「聞かないで」という。
年収350万円。直接税50%間接税25%であるわけが無い。あるのは「安心と安全」である。安心と安全を税金で買っている。皆が金を出し、皆で分けている。
可処分所得は減っても「安心と安全」が得られれば良い。
★ 労働観
日本は「組織が親切なのは元気な内」。そのような生き方を国民が選択した。
世界の中の日本。人口は2.0%GDP11.9%面積0.3%貿易5.7%。世界から見た日本は面白い。
「望遠鏡で近未来のビジョン。確実に近未来を見たい時には顕微鏡で分析する。そして明確な判断は地球規模でする」。
選挙は勢いがあると担げる。戦いに出たら行け行けどんどん。
日本人は未来が不安といっている。60歳の人が3000万円貯金があるのに。
リーダーが明示してやらないといけない。「ここに皆さんを案内しますよ」と。
わたし達の人生、どうしてくれるかしら。近未来の将来。長くて10年先。それには現時代を分析する必要がある。世界で一番豊かな国はノルウエーである。集めた税金をどう返すか。10年先、700兆円の借入れしている国は先の事がいえない。言えても次の選挙まで。役人は自分がいる時のみである。3年が限度。長期ビジョンが描けない。スウェーデンは190年間戦争をしていない。そのため、高い税金払っても安心。戦争でチャラになる事は無い。払ったものは必ずもらえる。
又、情報公開で集まった金の使い道を見せてくれる。
野党は代案として「福祉と介護は地方自治体でやらせて下さいといえばよい」のに。今度の選挙で新人議員が多く当選した。新人は何も判らないので役人は喜んでいるだろう。
★ 税金観
税金観を換えないといけない。小さな政府論は減税に勝てない。今の懐しか市民は考えない。それが異本の税金観。日本には市民が働き、お上が召し上げていくものとの税金観がある。選挙は減税を言わないと勝てない。北欧もそうであった。しかし、イザと言うとき、自分の力では、どうにもならない事を知った。自分も年をとる。自分も病気になると思う。元気な時にお金を出しあい、バリアフリーの道をつくる。連帯観つくり、社会資本つくる。連合体を基礎にした未来への投資⇒それが税金。10年後の1000円より明日の50円に傾く。
★ 情報公開
税金が如何に使われているか。明らかにする法律をつくる。スクープではなく正正堂々と。
なぜ豊かさ指数でもある人間開発指数、デモクラシーの頻度が上位に来ないか。
デモクラシーが弱いこと=女性議員が少ないこと。豊かさ指数を上げるのは女性議員に決まっている。人間開発指数日本は9位。
これは情報公開と女性議員が少ないためであるが、それをトップは判っている。トップはわかっているが今の制度の方が、リーダーの周辺は既得権が強いので、それをしない。
歴史の一ページを開けるのは大変である。熊本で女性知事誕生。そして、大阪、千葉となる。一ページ開くのには既得権者と葛藤がおこる。大変である。時代時代にそのような人がいた。そのような人は生きている間には同情されても報われなかった。ゼロから一にする事は大変であった。又、最後のページで本を閉じることも大変である。
又、日本は積み上げるため古くなったものをスクラップする度胸が必要である。ある目的を達したら綴じる。組織を閉じる。閉じれなければ本当に必要な物を開けない。
スウェーデンは1960年代はゼロであった。一になるのにした事は、つまり、何が出来たか。@労働時間を減らすことA可処分所得を減らすことB年金増加C夫婦で働くD情報公開1971年税制の変更をする。夫婦合算から個人所得式にする。税金で後に戻れないようにする。
日本:GDPが多く、貿易額5.7%。世界に向かって環境破壊などしている。貿易のため、大気を汚染する。その中で、どんな役割を演ずるべきか。地球温暖化に対し、野党は自民党にクールビズで先手を取られている。GDP11.9%。経済大国でありながら食料の30%も輸入に頼っている。何で勝負するか。幸せのバロメーター。労働観と税金観をどう考えるか。
★ ソフトと人
日本は「ソフトと人」を軽んじている国である。しかし、日本にあるのはソフトと人でしょうとなる。ヒューマンリソース(人間の資源)でしょう。日本はこの二つしかない。次世代育成施策をもっとクリエイティブ(独創的)にしましょう。そうすれば女性の職場がふえる。保育所増える。大きな地方自治体になる。地方政府が大きい。日本は公務員が少ない国。スウェーデンは38%の公務員。役人の定年を引き上げれば良い。長寿社会になり定年年齢と受給年齢を70歳にしていたら、今になって中高年の雇用など考えなくても良かった。15年前に組合の人が僕を講演に呼んだ。年金が危ない。それは高齢化が高いためであると。そして7-8年前に財界の人が呼んだ。それは、このまま行くと少子化で雇用が危ないと考えたからである。しかし、女性は知っている。高齢化と少子化はコインの両面であることを死っている。しかし、その女性を意志決定機関に入れようとしない。組合も企業も社会も。男の意志決定機関に入る人が先送りしている。
介護の現場にいけば女性81.5%。子どもを生むのは女性100%。なぜ、その人が創造的な提案ができないのか。そこの現実に即した提案を出さないのか。
次世代育成政策、労働人口、納税人口はどのような形で安定調達するかシナリオが欲しい。
そのシナリオがないので、自動車会社が部品の工場を中国に出す。中国は数年ではるかに安いものを作る。電気器具など日本の技術を学習し、日本の企業を追い払っていく。やがて中国の名前で売っていく。企業の方も困っている。やはりソフトとヒューマンリソースである。
アイスランドは寿命男、世界一。地熱利用。世界を見渡せばヒントがある。
モーリス・ドィベルジェ政党論=科学的政治学=社会科学方法論。そこだけが明るいという理由で街頭の下を探しても時計はない。探しやすいところに真実があるわけではない。暗いところにあるかも。人が無視するところに真実がある」。
★情報公開
1766年出版の自由法。1809年オンブズマンを制度化。
なぜ日本はソフトと人間の大切さを明示しないのか。
少子高齢化のスピート、規模画違う。政策がない。
1人部屋から相部屋と言われたらどうするか。安心と安全がかえるなら増税してもよいのではないか。ゼロはへるけど安心は得られる。地球社会は変化している。リーダーは鋭敏に地球社会をみて欲しい。一人では出来ない。仲間を作ってほしい。ソフトの大切さ、ヒューマンリソースの大切さをしないのか。
研究テーマを北欧にしようとしたとき、教授は大反対であった。本も無かった。しかし、思った。「経済発展したら、生活の質をどうするかの時代が来る」と。量から質に発想を変える時代となる。なぜか、三合の枡に四合の水は入らない。中に何を入れるのかに感心が移っていく。多くの財界人は「福祉をすると経済駄目になる」と思っていた。人間の人生は有限である。20代30代50代、時代により其々の幸せがある。多様性を持つ事が必要である。量ではなく質で、人間のクオリィティライフ視点で物を考える時代が来るだろう。「経済大国の論理から生活大国の論理」へという本を書いた。その本を書いて土井さんに渡す。しかし反応しなかった。それを採用したのは宮沢総理であった。宮沢さんは「日本の生活大国5ケ年計画」を出し、社会資本の充実を目指すようになった。以来、国の審議会委員になっている。
私は量より質を考える時代になるだろうと思った。それは、土光さん、松前さん、大平さんの政治のリーダー、学問のリーダー、経済のリーダーが「高度成長の次に来る時代は福祉社会に違いない」と福祉社会を研究しだしたからである。その方々は東京のど真ん中にスウェーデン社会研究所を作った。高度経済成長のまっただかに研究に入る。政治、経済、学問のリーダーはすごいと思った。成長の終わった後の社会はどうなるかを研究しだした。その先輩を見ていて、北欧を研究テーマとした自分の判断は間違っていなかったと思う。長いこと私の書いた本は売れなかったが20位前から本が売れるようになった。北欧は2500の自治体が300位になった。
高度情報化、少子高齢化、国際化、市民生活の成熟化をスウエーデンは少し前に経験する。
日本も取り入れるようになり、多くの人が北欧に見学に行くようになった。どうしてもクリアー出来ないのは労働の哲学と税金の哲学。それが変わらなければ安心と安全の国は作れない。日本は気がつくまでに時間がかかる。わかれば技術の問題である(17.10.28記)


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